賃金払いの5原則とは?

時流に乗って、テレワークの推進、それに伴う評価制度の見直しについて、といったコラムをいくつか書いてきましたが、今日は『賃金の支払い方にも決まり事があるんです』といったことをお伝えしていきたいと思います。
人事施策においては組織論モチベーション理論など、心理学が多くの割合を占め「人の気持ちの管理」が課題としてスポットを浴びていますが、労務施策においては法律対応社員に何かあった時のケアといったことが中心となります。

社員のモチベーションやエンゲージメントを高める、といったことに奮闘していると、軽視されがちになるかもしれませんが、会社を守るためには法律にしっかり対応していくことも必要です!
せっかく採用した社員さんに安心して働いて貰う、定着して貰うという事については、労務管理がとても大事になってきますので、しっかり押さえていきたいところです。

 

1.賃金払いの5原則について(労働基準法第24条)

 

 

サラリーマンからすると毎月同じ日に給料が支払われるのはsalary当たり前のことですが、これは法律によって定められているからなんですね
5原則について書いていくと、「アレ?じゃあコレって法律に違反してるのかな?」という項目もいくつか出てきますが、例外規定もありますので、そちらも見ていくことで納得できるかなと思います。

 

基本的には、その関係性から弱者的立場になりやすい労働者が、不利になることがないようにという考えのもとに定められています。
今や法律がガチガチすぎて労働者の方が強くなっているんじゃないかと感じる事も多々ありますが。

 

①通貨払いの原則

これは、賃金は通貨、つまり現金(日本円)で支払わなければいけませんよ、という原則です。
価値交換が不明瞭な現物(製品や商品など)での支払いは禁止されています。

あれ?じゃあ銀行振込って現金じゃないけど大丈夫なの?と思われた方、鋭いです!
これは例外として、労働者の同意があれば銀行振込での支払いが認められるとされています。

現金支給としてしまうと、かえって労働者にとって不便になってしまうこともありますよね。

ここでいう同意とは、いちいち個別に文書を交わさなくても、労働者から「この口座への給与振り込みをお願いします」といった「給与振込依頼書」などを提出してもらうことで、クリアできます。

 

 

 

 

②直接払いの原則

「賃金は本人に直接払いなさい」という原則です。
口座へ振込をする場合も、本人口座への振込をしなければなりません。
これは、仲介人や代理人など、第三者による中間搾取を排除して、労働者本人にちゃんと賃金全額をわたすことが目的となっている原則です。
労働者本人から委託を受けた代理人や、法定代理人ですら、本人にかわって受け取ることはできません。

例外的に
「使者」に対する賃金支払いや、差押えがあった場合の差押債権者への支払い、が認められています。

使者ってなんぞや?法定代理人ですら受け取れないのに使者ならOKなの???
と引っかかった方も多いんじゃないでしょうか。
使者というのは、社会通念上「本人に支払うのと同一の効果を生ずるような者であるか否か」で判断することになります。
該当するのは配偶者の方かわりに受け取って本人に渡すだけの人、といったところでしょうか。法律的に微妙な申し出があった場合には、しかるべき機関にきちんと相談して対処しましょう。

 

③全額払いの原則

賃金は全額きっちり本人に払ってくださいね、という原則です。
つまり、賃金から何かを引いて渡すことはできないということになります。
原則的には相殺も禁止されています。

ここでもまた、あれ?となりますよね。
賃金からは社会保険や税金、その他控除されるものが沢山あります。
はい、ここでもしっかり例外が用意されているので、そちらをお伝えしていきます。
なんだか例外だらけ

i)法令に別段の定めがある場合

社会保険や雇用保険、所得税は賃金から控除して、会社負担分と合わせて納付するのが通常です。これは、法定控除と言われるものですが、こちらについては何の約束事もなく賃金から控除すること(引くこと)が認められています。

 

ii) 労使の自主的協定がある場合

事業場の過半数で組織する労働組合または過半数を代表する者との協定(労使協定)がある場合は、賃金の一部を控除して支払うことができます。
協定が結ばれることで初めて、組合費任意の積立てなどを本人の賃金から控除することができるようになっています。

 

④毎月払いの原則

賃金は毎月1回以上支払わなければいけないという原則です。
これは賃金の支払い期間が長すぎることによって、労働者の生活に不安が生じないようにすることを目的とした決まり事です。

例外としては

i)臨時に支払われる賃金

これは、臨時的・突発的事由にもとづいて支給される賃金のことで、結婚祝いや出産祝いなど支給条件は決まっているけど、いつ発生するか分からない、といった賃金のことをさしています。

ii)賞与

賞与とは、原則として労働者の勤務成績などに応じて支払われるものであり、支給額があらかじめ定められていないものの事をさしています。
裏を返すと、定期的に支給され(年2回など)かつ支給額があらかじめ確定しているものは、賞与とは認められないということになります。

iii) 厚生労働省令で定める賃金

1ヵ月を超える期間の出勤成績に応じて支払われる皆勤手当てや精励手当などは、賞与に準ずる性格をもつことから、毎月払いの原則から除外されることになっています。
※文言が皆勤手当てであったとしても、1ヵ月以内の出勤成績に応じて支払われる手当は、毎月払いの原則に該当してきます。

 

⑤一定期日払いの原則

賃金の支払い日は、「毎月20日」、「毎月25日」といったように一定期日ごとに支払うことが義務づけられています。しかし、「毎月第3月曜日」とったような決め方では、月によって支払日が最大で7日異なってしまうため、認められません
給与の支払日が休日にあたる場合は、規定に定めておくことで、休前日とすることも休後日とすることも可能です

 

2.労働基準法第24条に違反した場合の罰則(労働基準法第120条 罰則)

 

賃金払いの5原則に違反した場合、どんな罰則を受ける可能性があるのかについても記載しておきます。

労働基準法では、第117条より罰則について定められており、第24条に違反した場合は第120条の罰則を受けることになります。

万が一違反してしまった場合は、30万円以下の罰金となりますのでご注意ください。

法律ってややこしいわりに、知らなかったが通用しないのでたまらないですね。

中小企業において、法律に対応する人材を備えることはかなり難しいですよね。
管理部門や総務・経理などの、デキる人が何とか現場対応しているのが現状じゃないかと思います。

間接部門の業務は極力効率化して、より高度な業務に時間を割けるようにしていきたいものですね。

 

いま間接部門は、業務がどんどん複雑化し、作業のような仕事が増える一方です。
一昔前のように、知らなかったで済ませて貰えるような空気はありません。
戦う経営者の皆さま、戦うバックヤードの皆さんに向けて、業務効率化のコラムも書いていきたいと思っています。
少しでも皆さまのお役に立てればうれしいです。

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