物流の機能と役割|物流の歴史|について

コロナウイルスの影響による営業自粛、外出自粛、テレワーク推進など、短期間にもの凄く世の中が変わってしまいました。
自由に人と会うことができないという事が、これほどまでにストレスになるとは思っていませんでした。。
そんな中でも物流業界は、人が生活するうえで絶対に止めてはいけない社会的機能の一つを担っており、今現在も現場の方々はみんな出社してきて働いています。
経済という血液をすみずみに運ぶ血管の役割を果たしている」とはよく言われますが、まさに人々のライフラインを支える事業であることを痛感する日々です。

logistics
こんにちはLogio5です!
とうとう物流について初めてのコラムを書くことにしました。
一発目がいきなり重たい書き出だしとなりましたが、今日は物流の歴史や物流が担う機能や役割について考えていきたいと思います。

 

 

 

1.物流の誕生

 

日本に物流の概念が生まれたのは、そんなに古くはなく、実は1960年代のことです。
1950年代当時は、まだ戦争の爪痕が深く残っており、都市部以外はインフラなどが整っていませんでした。
デコボコ道では速度を出すこともできず、ちょっと気を抜くと貨物が破損してしまうような状況でした。それまでの日本では、生産や消費の一部として考えられていたため、『物を運ぶ』ということに対してあまり大きな関心が持たれてきませんでした

しかし、そのすぐ後には高度成長期が始まります。日本がどんどん元気になっていった時代ですね。
作れば売れる時代が到来した日本では、大量の物を各地に運ぶことが命題として認識されるようになります。

 

年代アメリカ日本
1910年頃マーケティングの概念が誕生
1940年頃第二次世界大戦において兵站学(logistics)の研究が進む
1950年頃
戦争の爪痕が多く残り、道はデコボコ
1955年頃
コンテナ革命の起点
高度経済成長期に突入する
1965年頃
コンテナの規格が標準化される
アメリカにlogisticsを学び始める
1970年頃
ニクソンショック
日本列島改造論(大型物流施設の開発が進む)
1980年頃
コンビニエンスストアの台頭

 

アメリカにロジスティクスを学ぶ

そこで日本は、物流先進国であったアメリカに学ぶことを選択しました。
アメリカでは1910年頃にマーケティングの概念が形成されるのと同時期に、物流の概念も形成されていきます。

truck
1940年代には、第二次世界大戦において兵站(物資を前線まで運ぶのに、どう調達して、どう保管して、どう届けるのか)を構築するための研究がすすみ、実際に戦時中には『Military Logistics Operations』が実行されました。

その後1950年代に入り、物を運ぶという行為に、前後の調達や保管、ルートの確保といったマネジメントの概念が加えられて、Logisticsという言葉が使われるようになっていきました。
日本にも広く浸透したロジスティクスという言葉は、軍事学からきた言葉だったんですね~。

ただモノを運ぶだけのものだった物的流通行為が、環境の変化や時代背景に応じて姿と形を変えて進化していった結果、ロジスティクスという考え方の浸透につながったというわけです。

田中角栄さんの『日本列島改造論』は、この物流という考え方をアメリカに学び始めた少し後の時期になります。

余談ですが『日本列島改造論』。僕なんかはワードだけでわくわくします(笑)
withコロナ、afterコロナなんて言葉も出てきましたが、政府には、こんな壮大で分かりやすい目標をぶち上げてくれないかななんて思ったりしています。

 

日本の物流の発展

さて、アメリカからこの概念を学んだ日本は、物流の近代化に向けて急速に道路や港湾の設備を進めていきます。
ちなみに当時のアメリカでは、1955年から1965年にかけて、のちにコンテナ革命と呼ばれるほどの大変革が起こっています。このコンテナ革命により、世界の貿易量は爆発的に増加していきます。
これが無ければグローバルサプライチェーンという考え方などは100%生まれていなかったと断言できるほどの大きな出来事でした。
(コンテナ革命もとっても面白いので、また記事にします)

日本では高度成長期に加え、貿易量の急激な増加を背景に、道路や大型物流施設といった物流インフラの整備が必要に迫られました。
1980年頃には、コンビニエンスストアが台頭し、POSシステムによる在庫管理に合わせた物流といった考え方が広がっていきます。

そしてバブル崩壊とともに『作れば売れる時代』から、価値観の多様性に対応しなければ売れない時代『多種少量生産の時代』に移り変わっていきます。より細分化された配送先へ配達するためのシステムの開発、整備が重要な時代になっていきました。

現在では、ECの浸透や多種少量化の更なる拡大によって、物流件数自体は大きく増加しています。
しかし意外なことに、総物流量で見ると1990年代初めにピークを迎えて以降大きく減少しています。そのほとんどが小口配送となったことが原因ですね。

どの産業でも同じことが言えるかと思いますが、物流もまた時代の求めに応じて姿形を大きく変化させてきたという経緯があります。

 

2.物流の機能

経済活動とは、企業がモノやサービスを提供して売り上げをあげて、利益を得ることで成り立っています(あたりまえ)。当然ながらモノを販売する企業は、それが顧客の元に届かなければ売り上げを得ることはできませんし、そこに物流が介在しないことはほとんどありません。

ここでは物流を機能の面からみていきます。

物流は輸送、保管、荷役、包装、流通加工、情報管理の6つの機能で構成されています。

 

①輸送

最初に頭に思い浮かぶ機能です。
ご存知の通り、自動車・鉄道・船舶・航空機などの
輸送手段によってモノを場所的に移動させることを指します。

 

②保管

モノを保存して管理する機能です。

倉庫や倉庫内でモノを管理する棚などの運用、
保存しているモノの管理や在庫管理なども含まれます。

 

 

③荷役

輸送されてきたモノを取り扱う活動のことをいいます。

荷卸しや格納、出荷指示に基づいたピッキングや仕分け、
積み込み作業などです。
(大型のクレーンを扱うものなど、想像を絶するような
壮大な荷役作業もあったりします!)
新型コロナで自粛要請が出る中、それぞれの現場では
今もオペレーターの方々が作業をしてくれています。

 

④包装

モノの輸送や保管をするための機能です。

 

輸送においては荷崩れしないよう、また輸送を効率的に
行うために必要な機能です。
細かくは、個装・内装・外装と3つの包装に分かれていて、
内装・外装については輸送中の保護や輸送効率をあげること
を目的としています。個装は、皆さんの手元に届く単位に
包装されたものです。パッケージを見て購買意欲をあげる、
キャラメル包装(開封用テープが巻きつけられたもの)で利便性をあげるなど、消費者目線で施されるものです。

 

⑤流通加工

流通加工とは、メーカーから出荷されたモノに対して、倉庫・車両・店舗など流通の過程において付加価値を与える各種の作業を指します。
物流の高度化にともなって、倉庫内で行われる流通加工は増加しています。たとえば、アパレルでは値札付け、アイロン・ハンガー掛けなど、生鮮食品ではカットやパック詰め、機械製品ではセッティングなど、従来は店頭で行われてきたさまざまな作業が倉庫内で行われるようになっています。

⑥情報管理

情報管理とは、物流が展開されていくなかで、
さまざまな情報を集約・管理し、物流を含めた全体のサービス向上に役立てることを指します。上記5つの機能を高度に運営するために必要な機能です。
例えば輸送業向けにはTMS(TransportManagementSystem)という運行管理、配車管理、貨物のトレーサビリティ(追跡)といった機能を持つシステムがありますし、倉庫業ではWMS(WarehouseManagementSystem)という在庫管理、ピッキング支援、期限管理といった機能を持つ管理システムによって、情報管理がされています。

 

3.物流の領域

物流を領域の面からみると、次の図のようになります。

物流は大きく二つの領域に分かれています。原材料の調達から顧客にモノが届くまでの物流を動脈物流といって、調達物流・社内物流・販売物流が含まれます。
もう一つは、返品・回収・廃棄に伴う物流のことを指す静脈物流(リバースロジスティクス)と呼ばれるものです。

①調達物流

その名の通り、製品づくりに欠かせない原材料や部品などをサプライヤーから調達する際のモノの流れのことを「調達物流」と呼びます。いまは多種少量生産が主流ですが、少量づつ輸送することは非効率で無駄なコストがかさむことになります。しかしながら、トヨタ生産方式にある「必要なものを、必要な量だけ、必要なとき」に調達し、生産すること(ジャストインタイム化)は、在庫コスト低減に直結するため、各メーカーでは、調達物流の効率化がはかられています。

トヨタ自動車でも2020年9月よりミルクラン方式引き取り物流)が導入される予定だと報道されていました。
ミルクランとは、牛乳メーカーが原料となる生乳を調達するために、各牧場を巡回して集荷することから、そう呼ばれるようになった輸送方式です。
自動車はインテグラル型アーキテクチャの代表例ともいえるものですが、物流もまた同じように最終製品に対する全体最適の視点から設計をした方が効率が良くなるのは当然ですよね。

milk run

②社内物流

社内の拠点間の輸送を社内物流と呼びます。納入リードタイムをコントロールしやすいため、効率を重視して構築されます。梱包や保管についても、拠点間を輸送するのに必要な効率性さえ確保できれば、華美な装飾など必要もありません。輸送コストを抑えるために、補充の間隔を長くして量をまとめた輸送になる傾向があります。

 

③販売物流

店舗など、販売する場所までの納品を担うのが販売物流です。一般的にはこれを物流と呼びます。納品先との数量、時間など事前の取り決めを守ることが前提としてあるため、効率化を図るにしてもこの条件を無視することはできません。
近年では、Eコマース市場の急拡大によりエンドユーザーへの直送も大きなボリュームを占めるようになってきました。
「より早く」といった難易度の高い要求をこなす場合、サービスレベルは高くなるので価格も当然に高くなります(現実はそうでもないことも多々)。

 

④返品物流

ここからは調達物流・社内物流・販売物流といった動脈物流の逆向きに流れる物流になります。静脈物流やリバースロジスティクスといったりします。
アパレル関係では、売れ残り商品を本部に返品する際に回収物流が発生しますし、契約上は売れ残りの返品を受け付けないということになっていても、力関係によって返品されるなんてこともあります・・・。
一般に返品物流は販売物流の3倍ものコストがかかると言われています。(痛いです

 

⑤回収物流

通常、販売物流で運送する際に使用したパレットなどの輸送道具は回収します。また、商品の不具合による回収(リコール)もあります。不具合が発生したときに、該当する商品の仕様先を速やかに特定するための仕組みがトレーサビリティです。
回収の発生割合、回収が滞ることによる損失、回収にかかるコスト、それを予防するためにかかるコストを総合的に判断して、コスト効果のあるような回収商品特定のしくみを構築して運用することが、トレーサビリティの本来の目的です。

 

⑥廃棄物流

その名の通り、廃棄物の輸送や処分を行うのが廃棄物流です。循環型社会の形成に向けて注目されている分野(リサイクルなど)で、効率化の余地はまだまだ沢山あるような状況です。しかしながら、廃棄物流にはさまざまな規制が存在することから、あまりここに注力している企業は多くありません。
家庭などから排出される一般廃棄物と違い、産業廃棄物は排出業者に処理責任があります。
以前、有名ファッションブランドがブランド価値を保つために、売れ残り商品を焼却していたとして大きな批判を浴びるといった一幕がありました。

 

 

さて、ここまでで物流の成り立ちと社会に求められている機能と領域についてみてきました。

とかく物流というものはコストと捉えられがちです。しかしながら、物流にはそもそも流通加工という、付加価値を加える機能があるのは前述したとおりです。

そして、機能面・領域面からサプライチェーン全体を最適化させることで、商品の価値だけでなく、企業の価値そのものを高めることにもつながります。マイケル・E・ポーターさんも価値連鎖モデル(バリュー・チェーン)の中でそうおっしゃっています。
企業間、もしくは企業内の事業部間をつなぐ物流サービスのクオリティが高ければ、企業競争力の原資にもなりうるのです。

ICTの活用によって、企業間では大量のデータ交換が容易に行われる世の中になりました。しかし物流業界はまだまだ進化する余地が大きいと感じています(紙でのやりとりは当たり前)。
したがって、このコロナウイルスの影響で大きく変貌を遂げる可能性を持っている業界とも言えます。

物流にたずさわっておられる皆さん、この状況を乗り切ると共に、日本の物流を一歩先に進めるべく頑張っていきましょう!

 

Follow me!